2026/01/12 09:00

【はじめに:私たちは「ありのまま」を見ているか】

「自分は偏見なんて持っていない」 「多様性を尊重するのは、社会人として当たり前のマナーだ」

多くの若手社員の方は、そう考えているかもしれません。しかし、私たち人間は、これまでの経験や育ってきた環境、周囲の情報によって形作られた「特有のフィルター」を通して世界を見ています。

自分では無意識のうちに抱いている「思考の癖」、それがアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)です。これからの時代、組織の成長に不可欠なDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を実現するためには、まず自分自身が持っているこの「見えないフィルター」の存在を知ることから始まります。


【第1章:なぜ、私たちの脳には「偏見」が備わっているのか】

アンコンシャスバイアスは、決して特定の人の「性格」や「悪意」の問題ではありません。

1. 脳の効率化という仕組み

人間の脳は、毎日受け取る膨大な情報を処理するために、無意識のうちに物事をカテゴリー分けし、パターン化して理解しようとします。「〇〇なグループの人は、きっとこうだろう」という推測は、脳がエネルギーを節約するためのショートカット機能なのです。しかし、この機能が、目の前の「個人」を正確に見る目を曇らせてしまいます。

2. 自覚できないからこそ「アンコンシャス」

最大の特徴は、文字通り「無意識」であることです。本人が良かれと思って放った一言や、当たり前だと思って下した判断の中に、実は特定の属性に対する偏り(バイアス)が含まれていることがあります。まずは「自分にはバイアスがある」という事実を謙虚に受け入れることが、客観性を手に入れる第一歩です。


【第2章:DE&Iを阻む、日常に潜むバイアスの壁】

多様な個性を活かし合うDE&Iの考え方は、現代のビジネスにおいて欠かせない戦略です。しかし、個々のバイアスを放置すると、インクルージョン(包摂)は実現しません。

1. 相手の可能性を決めつけてしまう

「あの人は子育て中だから、急ぎの仕事は頼まないほうがいいだろう」「新入社員だから、この難易度の高いプロジェクトには興味がないはずだ」といった配慮のつもりの決めつけが、実は相手の挑戦の機会を奪い、活躍を阻害していることがあります。

2. 「自分らしさ」を出しにくい空気感

組織の中に特定のバイアスが蔓延していると、メンバーは「ここでは自分らしく振る舞っても評価されない」と感じ、本音を隠すようになります。多様な意見が混ざり合わない職場では、イノベーションは生まれず、個々のエンゲージメントも低下していきます。


【第3章:客観的な視点を取り戻すための手法】

バイアスを完全に消すことはできませんが、その影響を最小限に抑える手法を習得することは可能です。

1. 「自分の直感」に疑問を持つ

何かを判断したり、誰かにラベルを貼ったりした瞬間、「それは事実に基づいているか?」「別の見方はできないか?」と自分に問いかける習慣を持ちましょう。自分の第一印象をあえて疑ってみることで、思考に客観性が生まれます。

2. 「属性」ではなく「個」に向き合う

年齢、性別、経歴といった属性で相手を判断するのではなく、一人の人間としての強み、価値観、現在の状況に目を向けます。一人ひとりの背景に好奇心を持ち、対話を重ねることで、自分の中の古いフィルターを上書きしていくことができます。


【第4章:DE&Iを自分事にする「気づき」の価値】

若手社員がアンコンシャスバイアスを学ぶことは、他者のためだけではありません。 自分自身に対しても、「若手だから意見を言ってはいけない」「この分野の知識がないから向いていない」といったバイアスをかけていることがあります。

自分や周囲のバイアスに気づき、客観的な視点を持って働くことができれば、チームにはより自由で活発な意見交換が生まれます。多様な価値観が尊重されるインクルーシブな職場を作るのは、制度や仕組み以上に、一人ひとりの「気づき」と「行動」の積み重ねなのです。


【まとめ:学びを組織の活力に変える】

アンコンシャスバイアスを知ることは、自分自身をアップデートし、より広い視野で世界を見ることです。多様な人々がそれぞれの個性を発揮し、公平に活躍できる組織環境。それを築くための「種」は、皆さんの日々のコミュニケーションの中にあります。

自らの偏りに気づき、一歩立ち止まって相手を見つめ直す。その小さな変化が、あなた自身の成長、そして組織全体のDE&Iを加速させる大きな原動力となるでしょう。



今回のテーマをさらに深め、社内研修で活用するためのスライド資料

今回のコラムで解説した「無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)」が組織に及ぼす影響を理解し、客観的な視点を取り戻すための手法を体系的に学びたい。そんなニーズにお応えするための、プロ仕様の研修スライド(資料)をご紹介します。

■ 無意識の偏見「アンコンシャスバイアス」を知る 

https://manabislide.base.shop/items/127778790


この研修スライド(資料)は、DE&I推進の基礎となる「思考の癖」への理解を深め、公平な職場環境を構築することをねらいとしています。


  • ねらい: 無意識の偏見が及ぼす影響を理解し、客観的な視点を取り戻す手法を習得する。

  • 若手から取り組むDE&I: 多様な価値観が混ざり合う現代の職場で、若手社員がどのようにバイアスと向き合い、インクルーシブに活躍すべきかを分かりやすく構成しています。

  • 柔軟なカスタマイズ: PowerPoint形式のため、自社の社風やDE&Iの推進状況に合わせて内容を自由に調整可能です。

「無意識の壁」を乗り越え、多様な個性が最大限に発揮される組織を目指すための土台として、ぜひご活用ください。